誰のための「教育再生」か (岩波新書)藤田英典編)』
安倍政権が残した「教育再生」改革の一連の施策を分析し、これからの教育再生の道はどうあるべきかを提言する書。とりあげた施策、執筆者は以下の通り。

私は、筆者らの問題意識に重なることが多く、こうした施策がもたらす(した)ものについての分析にうなづけるものが多い。度を越えた管理は職務に対する誇りや尊厳を失わせるだろうし、度を越したゼロ・トレランスは困難な状況にある子どもを外に出してより困難を大きくする方向に作用するだろうし、あまりに自由な学校選択制は必然的に序列化を進めるだろう。施策を考えた人がおそらくは想像している、度を越えた放任や寛容が良くないのと裏表なのであって、要するに「ほどよいかげん」であろうとする現場のその場その場の努力の積み重ねが大切なのだと思う。
ただ、これらの施策はいまもう実行されている。実行されているなかでのせめてものふるまい、が私の関心ごとなのだが、そうした視点からの提言はなかったように感じられた。とりあえず、度を越えたお仕事が私に流れ着いたなら、「上に政策あれば、下に対策あり」の知恵を絞りたいと思う。