発達障害と少年非行―司法面接の実際(藤川洋子)』
興味深く読み、とても勉強になった。中井久夫に学んだ、というのも驚き。家裁調査官として職業生活の大半を過ごしてきた筆者のあとがきが印象に残る。

少年非行を担当することになったとき、ワルたちと机を並べることもあった私に違和感はなかった。「少し距離をとる」という性癖も、仕事上はよい方向に働くことが多かった。
非行少年は人を巻き込むのがうまいから、彼らに献身するタイプの同僚は、あれよと言う間に燃え尽きてしまい、早々にマンネリ化していく。私は献身にもヒロイズムにも遠いけれど、人間に対する好奇心は人並み以上に強かったから、仕事が面白くてならなかった。
(P.221)

人とうまくかかわることの前提に、自分とうまくかかわれることがある。境界線は大切だ。