鈴木先生 4 (アクションコミックス)武富健治)』
相変わらずの異様なテンション。性のあり方をめぐる公園のやりとりは「こんな奴ら、おらんやろー」と思いつつ、引き込まれて読んでしまう。どの話においても、作者が学校から少しはなれたところで、学校というものを一人で考え抜いたのであろうなー、ということが伝わってくる。たぶん、従来あった学校における教員役割、というものがいまの学校ではあんまり意味がなく、では、どんな教員のありようがいまの学校にとって意味があるのか、という問いがぼんやりとあり、この漫画はその問いに対する一つの意見を示しているのだと思う。主人公鈴木先生を評して言う女子生徒の言葉を借りれば、「嫌われ役や笑われ役に逃げずに何かを背負う」ということなのだが、そのあり方はとても難しいものであるように思える。で、その同じ女子生徒が言う

私も
大人から見て
いいなって思える
中学生を
やるから……
ずっとやるから(p.11)

に、生徒役割もまた、分かりやすいモデルがなくて揺らいでいるのだなー、と感じた。
この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)こうの史代)』
昭和10年代というありふれてはいない状況のなかのありふれた優しい日常。読んでいて包み込まれそうな柔らかい描線のなかに、少しずつ状況の変化が刻まれていく。広島が舞台であることが、優しい日常の意味や大切さを意識させる。すてきで、どきどきする作品。ざわざわした感情を感じながら、次巻以降も期待。