ずっと気になっていた報知新聞のこの記事。いろいろ思う。

「地図の上は北で下は南」??あきれた教師、分限免職(2008年01月09日08時15分)
 大阪市教育委員会は8日、特別支援学校の男性教諭(43)を教員として指導力不足で適格性に問題があるとして分限免職処分とした。この男性教師は、20年の勤務実績を持つベテランだが「三角形は一つの曲線と二つの曲線に囲まれる」「地図の上は北で下は南」、経線を「かけせん」と読んだりと、仰天授業を展開。1年間の校外研修を行ったが、改善が見られず、今回の処分が下った。
 中学校で社会科を約6年担当し、特別支援学校で14年勤務してきたベテラン教師が、トンデモ授業を行っていたことが、大阪市教育委員会の調査で判明した。
 調査によると、43歳の男性教師は、地図の読み方を説明する際、生徒に「上は北で、下は南」と見たままの?謎解説。山陰地方の「陰」の字も誤字で板書。指摘があって教科書を見ても、書けず、そのまま放置して先に進んでしまった。
 数学の授業では「三角形は一つの曲線と二つの曲線に囲まれる」と説明。経線を「かけせん」と読んだり、パソコンの授業では、的確な指示ができなかったことも。新学年になった時に、発注する教科書を前年度と全く同じものを頼んでしまう凡ミスもあった。
 特別支援学校では科目ごとの専任を置かず、幅広い分野を指導することが求められているというが、かなりの問題授業が常態化していたようだ。
 生徒や保護者からの訴えが続いたことで、事態を重く見た教育委員会では、昨年1月から1年間、模擬授業を行うなどの校外研修を行った。が、ここでも、助言や指導に対し「言い過ぎだ」「中傷だ」と声を荒らげ、逆ギレ。途中で席を立ったこともあったという。
 教育評論家の尾木直樹氏は今回の処分に関し「妥当でしょう。分限免職処分は認定が非常に難しく、裁判になることもあるが、これだけの証拠を集めたのは珍しいのでは?」と話す。
 「アルコール依存症、ヘビースモーカーで授業が手につかなかったりはよくある話。計算ミスを繰り返す、お経を唱えているような授業をする、というのもよく聞きます」。同氏によると、全国的に健常者の学校で問題が発生した場合、特別支援学校に異動させる人事が行われる傾向にあるという。
 分限免職処分は、地方公務員法第28条第1項第3号で定められており、懲戒免職とは異なり、退職金の受け取りが可能。大阪市では04年に3人の分限免職の処分者を出して以降、今回で4人目の処分となる。

分限免職処分については事実関係がわからないので何とも言えない。揶揄しようという感情が満ちているこの記事のなかなので、ホントにこう言ったかどうかはわからないけれど、違和感を覚えるのは尾木直樹氏の「全国的に健常者の学校で問題が発生した場合、特別支援学校に異動させる人事が行われる傾向にある」のコメント。
私は単に、小中高校での仕事が合う人と特別支援学校の仕事が合う人がいるということだと考えたい。定数標準法で考えて、たとえば、高校なら40人を1人で担任、特別支援学校の高等部で8人を2人で担任。仕事の質や求められるスキルは大きくちがう。小中高で今ひとつだった人が特別支援学校でとてもいい仕事をすることがあるし、逆もある。「小中高校で使えない人が特別支援学校に来る」という風評は、単に特別支援学校(2004年で55414人)に比べて小中高の教員の数が多く(2004年で865648人)て、小中高校に合わずに特別支援学校に行く教員のことのほうが、特別支援学校に合わずに小中高校に行く教員のことよりも、学校世界の話題にのぼりやすいということだと思われる。
この種の風評は、普通にいい仕事をしている大多数の特別支援学校の教員を脱力させる。よくいくブログに、このニュースに関連して、

特別支援教育の授業研究を活発に行っている教員方の数等も知りたいと思いますね。噂の伝播のような報道で非常に迷惑してらっしゃる方の層が、わたしはとてもお気の毒に思う。
2008-01-09 - S嬢 はてな

と書かれているのは、本当に救われる。私自身は楽しく仕事をして、やや過分な対価を得ているように感じるけれど、多くの人はたんたんと誇りを持って仕事をしている。そんなあたりまえな推測がまず先にたってほしいと思う。